暮らしの道具・使い方レシピ vol.1 手のかかる子ほど可愛い

Madu 商品企画バイヤーが、国内外の様々な地域で様々な作り手さんと出会い、
生活雑貨と出会い、そして自身でも使ってきた暮らしの道具について
自身の言葉で、友人とおしゃべりする気持ちで綴る「暮らしの道具・使い方レシピ」シリーズ。

初回はイタリア DE SILVA 社のキャセロールや、アフリカ製のピッチャーのお話など。

素朴な風合いと温かみのある表情が人気の
イタリア DE SILVA のキャセロール。
カジュアルに使えるシリーズですが、
お付き合いにちょっとだけコツが要ります。

イタリアDE SILVAのキャセロール

吸水性の高いテラコッタ(赤土)で作られているため、
そのまま使うと水漏れや匂い移り、
染みの原因になることがあるので、
初めて使う前に目止め処理をします。

イタリアDE SILVAのキャセロール

それでもまだ使っていく中で
匂いが気になったりすることがあれば、
お酢やレモン汁を加えた水に入れ
弱火で煮てあげたり・・・

イタリアDE SILVAのキャセロール

もっと便利なオーブンウェアがあるじゃない!
と言われればそうなんですが、
私が DE SILVA を使う理由は1つ。いや2つ。
お料理が美味しく仕上がる!
そして、そのまま食卓に出せるデザイン性。

赤土には天然の鉄分や古代の藻の堆積物が豊富に含み、
多孔質のため、熱伝導が均一で保温性も抜群。
食材にじっくり熱が伝わり料理をほんとうに
美味しく仕上げてくれるんです。

熱々出来立ての料理を食べたら、
もう多少の手間なんて苦ではなくなります。

イタリアDE SILVAのキャセロールと料理

保温性も高いので最後まで温かいお料理が楽しめます。

こちらのアフリカ製ジャグもしかり。
現地の土を使いハンドメイドされたジャグは
素朴な風合いとおおらかな温もりが魅力ですが、
水を入れて長時間置きっぱなしにすると、
底からじんわりと水が染み出て、
テーブルやクロスに染みが出来ることがあります。

アフリカ製ジャグ

DE SILVA のキャセロールも、
目止めをした後でも、もし水を長時間入れっぱなしにすると
こんな風に染みて来ます。

テーブルの染み

絶対に水の漏れないガラスのベイスを使えば解決する話ですが、
お花や植物に合わせて、色々なスタイルで生けたいなと思うと、
このぽってり味のあるジャグを使いたくなるタイミングも。

そんな時は、染みても大丈夫なように下敷きをしたり、
そもそも染みないように、
中にサイズの合うグラスを入れてそこに生けたり、
ちょっと工夫をすれば、諦めずに済みます。

ジャグとグラス

自然の素材を使い人間の手で作った道具には
それぞれに個性があって、全てが説明書通りではないことも。

そんな一品一品と向き合って共に暮らし、付き合い方を心得た時には、喜びもひとしお。
ちょっと手のかかる子の方が可愛いとか、一緒に成長した相棒とか、
そんな気持ちと愛着が沸いて、益々手放せない暮らしの道具になっていくのでした。

イタリアDE SILVAのキャセロール

使い終わって棚に仕舞う前に窓辺で干しているところ。

Madu が青山の裏路地に誕生して早28年。
暮らしのスピード感は驚くほど変わりました。
便利な技術やツールが増えるほど、日々がせわしなくなったと感じるのは
私だけでしょうか?

便利さ、簡易さだけを求めて暮らすのか、
自然の素材の質感と人間の手仕事の美しさに魅了されながら暮らすのか、
優先順位は人それぞれですが、
上手に両方を享受して過ごせたら、少し日々のスピードが減速するから不思議です。

手間暇。

この時間は削り過ぎないで暮らせたら良いなと思います。

次回はお客様から一番多くいただく質問、
「この器、電子レンジで使えますか?」について書きたいと思いますので
どうぞお楽しみに。